Acrobatを使った入稿前のPDFチェック
印刷原稿としてPDFは大変便利なデータ形式ですがその反面、入稿後に印刷会社が手直ししたり、変更することが安易にはできないというデメリットもあります。Adobe Acrobat Proをお使いであれば入稿前に下記のチェックを行って頂くことをお勧めします。(Adobe Standard、Adobe Readerでは利用できません。)Mac OS版Adobe Acrobat X Proを使って解説します。
『出力プレビュー』でオーバープリントやRGBオブジェクトを見つける
多数のオブジェクトが混在する紙面でRGBや特色オブジェクやオーバープリントのエラーを見つける方法をご紹介します。
印刷で利用されるカラーモードは、カラー印刷の場合は「CMYK」、モノクロ印刷の場合は「グレースケール」が一般的で、それ以外のカラーモードのオブジェクトが存在すると出力エラーになったり、その部分が印刷されないなどの思わぬトラブルになります。入稿前に入念なチェックが必要です。
1.作成したPDFをAcrobatで開く
作成したPDFをAdobe Acrobat で開き、「表示」>「ツール」>「印刷工程」を選択します。
2.「出力プレビュー」を選択
ウインドウ右側にサイドメニューが表示されます。「出力プレビュー」をクリックします。
3.オーバープリントを確認
出力プレビューの設定ウインドウが開きます。右上のシュミレーションプロファイル:「Japan Color 2001 Coated」を選択します。「オーバープリントをシュミレート」のチェックが入っていることを確認します。意図しないオーバープリントが設定されていると、この段階で画面左側のプレビューに変化があるはずです。このサンプルでは、タイトルのバック左側の模様、写真の中の白い文字、緑の四角形にオーバープリントが設定されており下図の結果になりました。
この現象は一般的なカラープリンターでは確認できませんが、カラー印刷の場合はこの状態で印刷されてしまします。(Acrobat Reader等表示ソフトのバージョンによって、オーバープリントを標準でプレビューできる場合もあります。)
意図せぬオーバープリントは、作成アプリケーションにもどって訂正してください。
4.YMCK以外のオブジェクトを確認する
続いて、表示:「デイバイスYMCKでない」を選択します。「色分解」の中の赤い破線で囲んだ項目がエラーになります。この時、画面左側のプレビューで表示されているのがDICカラーやRGBなどのYMCK以外のオブジェクトです。(レジストレーションカラーのトンボのみは表示されていても問題ありません。)これらは、作成アプリケーションで修正する必要があります。
『色を置換』でカラーのPDFをモノクロに変換する
カラーのPDFをモノクロ印刷(墨1色刷り)の原稿として入稿することは可能ですが、やはりモノクロのPDFで仕上がりのイメージを確認して入稿するのがベストです。
Acrobatの「色の置換」で、カラーのPDFを手軽にモノクロに変換することができます。
1.カラーのPDFをAcrobatで開く
最初に変換しようとするPDFのバックアップ(複製)を作成し「○○○ グレー.pdf」などとリネームしましょう。複製したPDFを開き、「表示」>「ツール」>「印刷工程」を選択します。
2.色の置換を選択
ウインドウ右側にサイドメニューが表示されます。「色の置換」をクリックします。
3.設定箇所
「色を置換」ダイアログボックスが開きます。「変換属性」内の「変換プロファイル」をクリックします。
複数のプロファイルが表示されますが、「Dot Gain」や「Gray Gamma」などを選択するとPDFをモノクロ変換ができます。また、変換オプションの「黒を維持」にチェックを入れOKボタンをクリックします。
「Dot Gain」は“%”の異なるプロファイルが用意されていますが、“%”の値が高いほど明るく変換されます。
4.変換
以上でグレー変換完了です。変換後のグレーの濃度など確認してください。意図しない結果となった場合は、別のプロファイルを使用してみてください。
次のような場合など注意必要です。例えば目立たせたいと思って赤くした文字がグレーになってしまい、逆に読みづらくなってしまったり、下の例のように水色や黄色だったところは、かなり薄いグレーになってしまいます。このような場合は、作成アプリケーションに戻って訂正が必要です。
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